運転中に黄色い背景に黒色で「!」と書かれた道路標識を見かけたことはありますか?この謎めいた標識には「心霊スポットに設置される幽霊注意の標識」という都市伝説が存在します。
本記事では、この標識の正式名称や設置基準、補助標識なしで設置される理由、そして有名な青山霊園の都市伝説の真相まで、徹底的に解説します。
「!」マークの道路標識とは?正式名称と意味
警戒標識215番「その他の危険」
黄色の菱形に大きくビックリマークが描かれた標識は、道路交通法で定められた警戒標識の一種で、正式名称を「その他の危険(標識番号215)」といいます。

警戒標識の特徴
- 黄色地に黒色の図案:視覚的に注意を促す色使い
- 菱形(ひし形):不安定な形状で警戒感を高める
- 27種類の警戒標識の1つ:他に「十字路あり」「動物注意」「幅員減少」など
黄色はよく目立ち、視覚的効果で前に飛び出して大きく、近く見える特長があるため、注意を促す警戒標識には黄色が用いられています。
「その他の危険」の設置基準
国土交通省の道路標識設置基準によれば、「その他の危険(215)」は、他の警戒標識で表示しえないその他の事由により、道路通行者に注意を促す必要があると認められる箇所に設置されます。
つまり、既存の26種類の警戒標識では対応できない特殊な危険がある場所に設置される、オールマイティな警戒標識なのです。
補助標識とは?なぜ付いていない場合があるのか

補助標識の役割
通常、「!」マークの標識の下には、白い長方形のプレート(補助標識)が付けられており、具体的な注意内容が記載されています。
補助標識の例
- 「なだれ注意」
- 「路肩弱し」
- 「冠水注意」
- 「中央分離帯注意」
- 「横断飛び出し」
名古屋は「その他の危険」の聖地であるらしく、「冠水注意」や「中央分離帯注意」の標識がそこここにあるそうです。
補助標識がない理由
補助標識が付いていない場合は、複数の注意理由が存在し、その全てを補助標識にしてしまうと見づらくなってしまうため、あえて付けないことが多いようです。
補助標識なしで設置されるケース
- 複数の危険要素が存在:飛び出し・急カーブ・路面状況など、複数の注意点がある
- 総合的な注意喚起が必要:具体的な1つに絞れない場合
- 視認性の確保:文字が多すぎると運転中に読みづらい
幽霊注意の都市伝説はどこから生まれた?

都市伝説の内容
補助標識が付いていないものがある一見しても何に注意すればいいのかわからない場所に立っている『その他の危険』は、実は「幽霊注意」を呼びかける標識で、国土交通省としても公の機関が霊の存在を認めるわけにはいかないので、その他の注意を示す「!」標識に補助標識を取り付けないことで、幽霊注意を表しているという都市伝説があります。
なぜこの噂が広まったのか
- 標識自体の希少性:標識というのは各都道府県が設置するものなので、全国での総数はわからないのですが、非常にレアなのは確かです
- 補助標識なしの謎:何に注意すればいいのか一目で分からない
- 心霊スポット近くの設置:青山霊園や正丸峠など
青山霊園の「!」標識の真相

有名な都市伝説の発端
青山霊園の近くにこの標識があるというのは有名な話で、その筋で知らない者はいない都市伝説でしたが、1997年の時点では確実に存在していたものの、2016年10月には既に撤去されていたことが確認されています。
メディアでも紹介された
1990年代にフジテレビの「どーなってるの」という番組でこの標識が取り上げられ、近所の住人への取材で雨の日に女性の霊が出るという証言が放送されたことで、この都市伝説が広まりました。
実際の設置例:どんな場所にある?

事故多発地点への設置
埼玉県秩父郡横瀬町と飯能市の境にある正丸峠は、カーブが多く狭い道ということもあり、いわゆる「走り屋」によるドライブ中の事故が多発することで有名な場所で、死亡事故も多く、心霊スポットとしても有名になりました。そんな峠道にぽつんと!標識のみが立っています。
複雑な道路状況
札幌市の北7西1交差点付近には、この標識が3連続で立っている場所があり、雪国の常で路肩が広く取られているのですが、この先の歩道橋が路肩にはみ出している設計であるため、激突を防ぐべく何度も警告標識を設置したものと思われます。
「注意」だけの標識も
茨城・栃木県道1号仏ノ山峠の茨城側には「その他の危険」標識があるのですが、ここの補助標識には「注意」のひとことだけしかなく、実際には、この先に「凍結注意 スリップ注意」という看板があるので、滑らぬよう気をつけて走ってくれということなのだろう。
道路標識に関する基礎知識
4種類の本標識
道路標識は本標識と補助標識の2種類に分類され、本標識は案内標識・警戒標識・規制標識・指示標識の4種類に分けられます。
標識の種類 | 色・形状 | 設置者 | 目的 |
---|---|---|---|
案内標識 | 青地/緑地に白文字 | 道路管理者 | 目的地の方向・距離を示す |
警戒標識 | 黄色地に黒 | 道路管理者 | 危険や注意事項を警告 |
規制標識 | 赤・青・白 | 公安委員会 | 禁止・制限を示す |
指示標識 | 青地に白 | 公安委員会 | 特定の交通方法を指示 |
全国の道路標識の数
交通安全白書によれば、規制標識及び指示標識の設置枚数は約979万枚であり、そのうち約59万枚が大型標識(灯火式、反射式又は自発光式)です。また警察白書では道路標識は約620万本と記載されています。
よくある質問(FAQ)

Q1. 「!」マークの標識は本当に幽霊注意の意味?
A. いいえ、これは都市伝説です。標識を設置するのは国土交通省か都道府県、市町村で、きちんと調べる気があれば「なんでそこに標識があるか」は分かるようになっており、記録に残る以上、例えそこに本当に幽霊が出たとしても「幽霊がでる」という理由で標識をつけることは不可能です。
Q2. この標識を見たらどうすればいい?
A. いずれにしても事故多発地点に設置されていることが多いので、幽霊と関係なしに注意して走行しましょう。速度を落とし、周囲の状況に十分注意を払うことが大切です。
Q3. なぜ補助標識なしで設置されるの?
A. 複数の危険要素が存在する場合、全てを文字で説明すると見づらくなるため、あえて「!」マークだけにして総合的な注意を促しています。
まとめ:「!」標識の正しい理解
黄色地に黒色の「!」マークが描かれた道路標識「その他の危険(215)」は、既存の警戒標識では対応できない特殊な危険を知らせるために設置される標識です。
重要なポイント:
- ✅ 幽霊注意は都市伝説:行政が幽霊を理由に標識を設置することはない
- ✅ 補助標識なしの理由:複数の危険要素があり、文字にすると見づらくなるため
- ✅ 事故多発地点に設置:いずれにせよ注意が必要な場所
- ✅ 全国で非常に希少:見かけたら幸運…ではなく要注意!
運転中にこの標識を見かけたら、都市伝説のことを思い出しつつも、速度を落として慎重な運転を心がけましょう。
あなたはこの標識を見たことがありますか? どこで見かけたか、ぜひコメントで教えてください!
参考資料
- 国土交通省「道路標識設置基準」
- 国土交通省「道路標識一覧」
- 内閣府「交通安全白書」
- 警察庁「警察白書」
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