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アニメ考察

【真相】ラピュタの”別エンディング”は存在する?パズーとシータ再会の噂を調査!

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「子供の頃に見た『天空の城ラピュタ』のエンディングと、今テレビで見るエンディングが違う気がする…」

子供の頃に見た『天空の城ラピュタ』のエンディング
©STUDIO GHIBLI INC.

「パズーがシータを故郷に送り届けて、大人になってから再会するバージョンがあったはずだ」

あなたも一度はこんな噂を耳にしたことはありませんか?『天空の城ラピュタ』には、劇場公開版とは異なる「もう一つのエンディング」が存在するという都市伝説。これは、ファンの間で長年にわたり語り継がれてきました。

この記事では、その噂の真相を徹底的にリサーチ。なぜこのような噂が生まれたのか、その発生源からジブリの公式見解まで、すべての謎を解き明かしていきます。

結論:公式な「別エンディング」は存在しない

いきなり結論からお伝えします。スタジオジブリが公式に制作した『天空の城ラピュタ』の別バージョンのエンディングは存在しません。

スタジオジブリ、天空の城ラピュタのワンシーン
©STUDIO GHIBLI INC.

現在、DVDやBlu-ray、そして「金曜ロードショー」などで放送されているエンディングが、唯一の公式なものです。

しかし、「絶対に見たことがある!」という声が後を絶たないのも事実。それには、ちゃんとした理由がありました。この都市伝説は、以下の3つの情報が、ファンの記憶の中で複雑に絡み合って生まれたものだったのです。

  1. 小説版にだけ存在する「後日談」
  2. 宮崎駿監督が描いた「本編未採用のイラスト」
  3. テレビ放送時の「エンディング短縮」と「記憶違い」

それぞれを詳しく見ていきましょう。

噂の発生源①:小説版に描かれた「その後の二人」

この噂の最も大きな根拠となっているのが、徳間書店から出版されている宮崎駿監督自身による小説版『天空の城ラピュタ』の存在です。

実はこの小説版(後編)のあとがきには、映画では描かれなかった、ラピュタ事件の後のエピソードが少しだけ描かれています。

宮崎駿監督自身による小説版『天空の城ラピュタ』
©STUDIO GHIBLI INC.

小説版の後日談(要約) ラピュタでの冒険から半年後。パズーは完成間近の自作のオーニソプター(飛行機)のコックピットにいました。彼は、故郷のゴンドアの谷にいるシータへ手紙を書いています。「もうすぐ、この飛行機で君に会いに行く」と。

この「飛行機でシータに会いに行く」というエピソードが、映画の記憶と結びつき、「再会するエンディングを見た」という記憶の元になったと考えられます。映画では二人が別れた後の直接的な再会は描かれていないため、この小説版の情報は非常に大きな影響を与えました。

噂の発生源②:宮崎監督が描いた「幻のイメージボード」

噂を補強したもう一つの要因が、公式イラスト集や資料集に掲載されている宮崎駿監督直筆のイメージボードやイラストです。

資料集『THE ART OF 天空の城ラピュタ』
©STUDIO GHIBLI INC.

例えば、資料集『THE ART OF 天空の城ラピュタ』などには、映画の構想段階で描かれた様々なイラストが収録されています。その中には、映画本編では採用されなかった、パズーとシータのその後を想像させるようなものも含まれています。

これらのイラストが、小説版の後日談と結びつき、「パズーがオーニソプターでシータに会いに行く」という具体的なイメージをファンの間に定着させました。

噂の発生源③:テレビ放送でのカットと記憶違い

「いや、絶対にテレビで見たんだ!」という主張の背景には、テレビ放送特有の事情と、人間の記憶の曖昧さが関係しているようです。

宮崎駿監督が描いた「本編未採用のイラスト」
©STUDIO GHIBLI INC.

「金曜ロードショー」などのテレビ放送では、放送時間の都合上、エンディングのクレジット部分が短縮(カット)されたり、高速で流されたりすることがあります。

スタジオジブリの公式見解(要約) スタジオジブリは、過去に公式サイトの日誌などで「噂されているような別エンディングは存在せず、テレビ放送で特別な映像を流したこともない」と明確に否定しています。

つまり、断片的な視聴体験や、小説・イラストといった事前情報によって、「特別なシーンが追加されたエンディングを見た」という記憶違いが起こった可能性が極めて高いのです。

では、本当のエンディングは何を描いているのか?

改めて、公式のエンディング(主題歌『君をのせて』が流れるクレジットシーン)で描かれている内容を確認しましょう。

天空の城ラピュタ映画の構想段階で描かれたイラスト
©STUDIO GHIBLI INC.
  • パズーとシータのその後:二人はそれぞれの故郷へ帰ります。パズーはスラッグ渓谷の町で元気に暮らし、シータはゴンドアの谷でヤックたちと平和に暮らしている様子がイラストで描かれます。しかし、二人が再会するシーンは描かれていません。
  • ドーラ一家のその後:相変わらず空賊稼業を続けており、お宝を手に入れて喜ぶ元気な姿が描かれています。
  • ラピュタのその後:崩壊を免れた城の上部は、巨大な飛行石の力によって静かに上昇を続け、最終的には宇宙空間のような高みへと到達します。

このエンディングは、登場人物たちの未来に希望を持たせつつも、あえて再会の場面を描かないことで、観る人の想像力に物語の続きを委ねる、非常に余韻の残る素晴らしい構成になっています。

まとめ:愛すべき都市伝説の正体

『天空の城ラピュタ』の別エンディングという噂は、残念ながら事実ではなく都市伝説です。

天空の城ラピュタの画集より
©STUDIO GHIBLI INC.

しかし、この噂がこれほどまでに広まったのは、映画を愛する多くのファンが「パズーとシータに、また会ってほしい*と強く願ったからに他なりません。

小説版の後日談や、監督の描いた一枚のイラストが希望となり、多くの人の記憶の中で「もう一つのエンディング」として形作られていったのです。それは、作品がどれだけ深く愛されているかの証明と言えるでしょう。

公式エンディングで直接描かれなくとも、私たちの心の中では、パズーはきっと自作のオーニソプターで、大切なシータに会いに行ったはずです。そう信じさせてくれる力こそが、『天空の城ラピュタ』が持つ最大の魅力なのかもしれません。

引用・参考

  • スタジオジブリ 公式見解(過去の公式サイト日誌など)
  • 宮崎駿 著『小説 天空の城ラピュタ〈後篇〉』(徳間書店)
  • 『THE ART OF 天空の城ラピュタ』(徳間書店)
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