BEN Drowned(ベン・ドラウンド)とは、2010年に海外の匿名掲示板4chanへ投稿された、ゼルダの伝説「ムジュラの仮面」の“呪われたカセット”を題材にしたネット怪談(クリーピーパスタ)です。
「BENという溺死した少年の霊がカセットに宿る」という物語が、グリッチ(バグ)映像とともに連載形式で広まりました。都市伝説ラボでは、実話ではなく創作怪談であることを前提に、初出・元ネタ・なぜ世界的に拡散したのかを、2026年最新の公開資料と学術論文から整理します。
海外ゲームの都市伝説といえば、まず名前が挙がるのがこの「BEN Drowned」です。日本の『マリオ』『ポケモン』系の噂とは違い、BEN Drownedは作者が実在し、投稿日時も特定できるという珍しい怪談でもあります。この記事では、以下の3点を検証可能な事実に沿って読み解きます。
- わかること①:BEN Drownedの初出(いつ・どこで・誰が投稿したか)と元ネタ
- わかること②:「呪われたカセット」として語られる内容の核心
- わかること③:なぜ怖く、なぜ世界に広がったのか(グリッチホラーの心理と学術的考察)
より広い文脈は、クリーピーパスタとは?傑作7選や、架空のゲームボーイホラーを扱ったMisfortune.gbの解説もあわせてどうぞ。
BEN Drownedとは?初出と元ネタ
BEN Drownedの初出は、2010年9月に4chanのオカルト板(/x/)へ投稿された連載形式の書き込みです。投稿者のハンドルネームは「Jadusable」で、のちに脚本を担当した人物(Alex Hall)だと公表されています。都市伝説ラボが公開情報を整理したところ、この怪談は「投稿主が中古で買った『ムジュラの仮面』のカセットが異常な挙動を示す」という設定から始まります。
題材となった『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』は、2000年にNINTENDO64向けに発売された実在のゲームです。作中に登場する「お前は…とんでもない失敗をしでかしたようだな」という不気味なセリフや、うつろな姿の像(Elegy of Emptiness)といった本物のゲーム要素が、怪談のディテールに巧みに使われています。実在するゲームの記憶が土台になっている点が、リアリティを生む仕掛けです。
「呪われたカセット」として語られる内容
物語の核心は、「BENという名の溺死した少年の霊がカセットに宿り、プレイヤーを追い詰める」というものです。あくまで創作怪談であり、実在の心霊現象として語られているわけではありません。
広く知られる筋書きでは、セーブデータに勝手に「BEN」という名前が現れ、キャラクターが不自然に動き、「You shouldn’t have done that(そんなことをすべきじゃなかった)」というメッセージが繰り返されるとされます。映像はゲーム画面にバグ(グリッチ)を加えたもので、YouTubeにアップロードされた動画と4chanのテキストが連動して恐怖を積み上げました。ここで重要なのは、恐怖の源が「幽霊そのもの」ではなく「技術が壊れる瞬間」への不安だという点です。

なぜ怖く、なぜ世界に広がったのか
結論から言えば、BEN Drownedが広がった理由は「参加できる怪談」だったからです。読者が考察や続編を書き込み、物語がコミュニティ全体で育っていきました。事実と創作を切り分けると、次のように整理できます。
| 検証できる事実 | 創作(フィクション)部分 |
|---|---|
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拡散の背景には、ネット環境の変化もあります。総務省の情報通信白書によると、10代のインターネット利用率は約99%に達し、SNSの利用率も高水準で推移しています(総務省 情報通信白書)。誰もが動画とテキストを同時に消費する時代に、BEN Drownedのような「マルチメディア型の怪談」がぴたりとはまったといえます。
学術的考察:グリッチホラーとデジタル民俗学
BEN Drownedは、研究者からも「新しいホラーの型」として注目されてきました。都市伝説ラボでは、OpenAlexで公開されている英語論文を確認し、以下の知見を整理しています。
ゲーム研究者のEmily Crawfordは、2018年の論文でBEN Drownedを題材に「グリッチホラー」という新ジャンルを定義し、その恐怖はデジタル技術の不完全さ(バグや壊れたデータ)への集合的な不安から生まれると論じています(Crawford, 2018, OpenAlex)。カセットの故障がそのまま「呪い」に見える構造は、まさにこの指摘どおりです。
また、シェフィールド・ハラム大学のJoe Ondrakの研究によると、クリーピーパスタは口伝の民話の延長ではなく「第4世代デジタル・フィクション」という独自のジャンルであり、投稿プラットフォーム(4chanやYouTube)そのものが表現の一部になっているとされます(Ondrak, 2018, OpenAlex)。
オンライン・コミュニティは、自分たちで作った伝説に自ら関与する「反転した実演(reverse ostension)」を通じて、純粋にデジタルな空間でも民俗的な物語を生み出す。
— Megan Erin Pallante「Secure, Contain, Protect」ノースカロライナ大学 (Pallante, 2019, OpenAlex)
ノースカロライナ大学に提出されたPallante(2019)の研究によると、SCP財団のような集団創作の怪談は、参加者が物語に関与すること自体が拡散のエンジンになります。BEN Drownedが単発の怖い話で終わらず、続編や考察を生み続けたのも同じ力学です。関連する検証は日本のゲーム都市伝説の検証記事でも扱っています。学術論文の一次情報はCiNii Researchや国立国会図書館デジタルコレクションでも探せます。
BEN Drownedに関するよくある質問(FAQ)
BEN Drownedは実話なのですか?
いいえ、BEN Drownedは実話ではなく、2010年に投稿された創作怪談(クリーピーパスタ)です。作者も公表されており、呪われたカセットや霊の存在は物語上の設定です。
BEN Drownedの元になったゲームは何ですか?
2000年にNINTENDO64で発売された『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』です。作中の実在するセリフや像が、怪談のディテールに使われています。
なぜBEN Drownedはこれほど有名になったのですか?
テキスト・グリッチ映像・読者参加が組み合わさった「マルチメディア型の怪談」だったためです。研究者はこれを、技術への不安を核にした「グリッチホラー」の代表例と位置づけています。
まとめ:BEN Drownedは“壊れる技術”への恐怖
結論として、BEN Drownedは実在の心霊現象ではなく、実在ゲームとネット文化が生んだ「参加型のデジタル怪談」です。ポイントは次の3点です。
- 初出は2010年9月・4chan、作者Jadusable(Alex Hall)が実在する創作怪談
- 題材は実在ゲーム『ムジュラの仮面』。本物のゲーム要素がリアリティを生む
- 恐怖の核心は「幽霊」より「壊れる技術(グリッチ)」=グリッチホラー
都市伝説ラボでは今後も、海外・国内の都市伝説を一次資料と学術論文から検証していきます。「怖い」の裏側にある仕組みを知ると、怪談はもっと面白くなります。
本記事について
最終更新: 2026-07-14 / 編集: 都市伝説ラボ 編集部。本記事は2026年7月現在の公開情報・学術論文に基づく考察であり、心霊現象の実在を主張するものではありません。※作品・出来事の解釈には諸説があります。ご質問・お問い合わせは各サイトのお問い合わせフォームから受け付けています。詳しくはプライバシーポリシー・利用規約をご覧ください。
著書: 『ネット怪異の解剖学 —— 論文で読み解くインターネット都市伝説』(Kindle) / 『今知っておきたい ネット都市伝説100』(Kindle)